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                             7、 神山一乗寺

松阪市を流れる櫛田川を見下ろす小高い山頂に建つ神山一乗寺。

Wikipediaによると

『この寺は聖徳太子が伊勢神宮への参拝の際にこの地で自ら61寸の薬師如来座像を刻み、

創建したと伝えられている』  とある。

(日本の寺社古跡のほとんどは弘法大師か聖徳太子が作ったことになりそうだ)

その後、戦乱などにより何度も消失と再建を繰り返し、現在の建物は1836年に再建されたものだという。

子供の頃からよく登った天台宗の山寺で、春には新緑、秋には紅葉が美しく

今でも天気のよい日など、ときどき登ることがある。


本堂の濡れ縁に張ってあるケヤキ板は長年の風雨にさらされ、木口は割れていたり、板によっては

かなり反ったりねじれているものもある。

木口を見るとあるものは木裏を、あるものは木表を上面にして張ってあって

規則性もなく、ただ無頓着に張ったようにも見えるが、

おそらく板として欠点(節や干割れ)の少ない方を表面にしたものと考えてよさそうだ。

濡れ縁の場合ならとくに、できれば木裏でそろえたいところだが、

当時も今も現実はなかなか思うようにいかないものだ。


規則性を重視して原理主義を貫くか、世俗の現実に即した柔軟策をとるか、

時代を超えて悩ましい葛藤を見たような気がする。